川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアムは、神奈川県川崎市多摩区に立地する、漫画家藤子・F・不二雄(藤本弘)の作品原画やその関連資料を中心に展示する博物館である。2011年(平成23年)9月3日開館。
藤子・F・不二雄の妻・藤本正子、株式会社藤子・F・不二雄プロ(以下、藤子プロ)、川崎市の三者で協議し、1961年(昭和36年)から藤子・F・不二雄が死去する1996年(平成8年)までの35年にわたって暮らした川崎市内に博物館(ミュージアム)の設置を決定した。きっかけは、平成11年2月に藤本正子から川崎市へ、『ドラえもん』をはじめとする漫画原画約5万点を広く市民へ展示公開したいとの申し入れがあり、それを受けて、川崎市と藤子プロが中心となり検討を開始した。人物博物館の多くがその人物の故郷に建てられる中で、藤本の故郷(富山県高岡市)ではなく成年期の大半~晩年を過ごした土地に建てられたという、珍しい例である。なお、2015年11月には藤本の故郷である高岡市の高岡市美術館2階に「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」が開設され、藤子プロおよび当館が資料の提供(コラボレーション)を行うなど提携関係にある。
川崎市多摩区の生田緑地に掛かる小田急電鉄所有の約2.9km²の土地(2002年3月まで営業した向ヶ丘遊園跡地を含む)のうち、2009年3月で閉館となった小田急グループのボウリング場「小田急向ヶ丘遊園ボウル」跡地を中心とした約5.5haを川崎市役所が賃借し、ミュージアムの施設の建設を藤子プロ側が行い、竣工後に建物を川崎市へ寄贈した。また、指定管理者制度による運営を行い、2011年2月7日に川崎市議会において、株式会社藤子ミュージアム(本社は東京都新宿区。藤子プロが設立した関連会社とされる)が指定管理予定者に選定され、同時にミュージアムの営業概要が川崎市から発表された。このため、当館の設置者は川崎市であるものの、藤子プロを後援する小学館と小田急電鉄も一定の関わり合いを有している。
入館の際には音声ガイダンス装置「おはなしデンワ」が貸与される。日本語のほか、英語、中国語、韓国語の4言語が用意され、日本語版は大人用と子供用の二種がある。装置はスピーカーの音声を聴く仕様であるが、イヤホンジャックもあり、持参したイヤホンで聴くことも可能である。
