アルコール依存症を完治させる方法は、アルコールを完全にやめる事


アルコール依存症は、非常に深刻な病気であるにも関わらず、その存在が社会的に話題になる事はほとんどありません。多量飲酒者と呼ばれる1日にアルコール60g以上を飲まないとイライラしてしまう人は、2013年厚生労働省のデーターによると、男性785万人、女性195万人に達しており、人口の1割の人がアルコール依存症に近い状況にあるとされています。その中で特に重度となるアルコール依存症の患者数は、男性100万人、女性14万人ほどです。

お酒は適度に飲めば体に良いとされていますが、『適度に飲む』というのは、自分1人でいる時にお酒を飲まないという事です。1人酒をするようになってくると、お酒をやめる事が難しくなるので、お酒を1人で飲み始めるようになったら要注意です。アルコール依存症になると、1人でお酒を飲んでいても全くコントロールできなくなってしまって、とにかく寝るまで飲み続けるという事になります。また、飲んでいない時にイライラするのもアルコール依存症の特徴と言えるでしょう。多くのアルコール依存症の患者が昼間からアルコールを口にしています。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症の唯一の治癒としては、アルコールを完全に断ち切る事以外にはありません。アルコールを完全に断ち切れない限りは、アルコール依存症が治る事がないのです。だから、治癒する事が大変に難しい病気であり、麻薬の依存症と同じぐらいに非常に難しい病気であると言えるでしょう。アルコールをそれまでずっと継続的に摂取し続けてきた人がアルコールを完全に断ち切る事が難しいからです。

アルコール依存症を治癒させなければ、アルコールの量がどんどん増えて、死ぬまで飲み続ける事になります。10年も飲み続けた場合には、必ずと言ってよいほど何らかの病気にかかってしまって、あとは病気の治療と並行してアルコールを摂取し続ける事になってしまいます。自分でコントロールできないのがアルコール依存症なのに、コントロールできると勝手に決め込んで『少しぐらいいいだろう』と言ってアルコールを摂取していると、アルコール依存症は全く治らず、次第にお酒の量が増えてどんどん悪化していきます。

アルコールによる病気の発症

アルコール依存症の問題点としては、本人の健康が害される事があるでしょう。アルコールによる肝臓障害の代表は、肝臓疾患であるとされていて、アルコール依存症の患者の多くが肝臓の病気にかかってしまうリスクを抱える事になります。また、アルコールが大量の糖分を含んでいるので、糖尿病などにもなりやすくなりますし、歯周病・虫歯などのリスクも高まります。生活に及ぼすアルコールの影響が非常に大きいと言われていて、入院患者の2割がアルコールが原因で入院を余儀なくされているとされています。

更にアルコールの摂取が好きな人は、高血圧、肥満などになりやすくなり、いわゆる『生活習慣病』になって、病院で治療を受けなければいけないケースが多いです。病院などで薬などを処方されても、本人の生活習慣が改めない限りは、体が快方に向かう可能性は低いと言えるでしょう。ストレスがあるからと、それを解消する手段としてアルコールを利用しようとすると、気分が高揚する効果があるので、アルコール依存症に陥りやすいとされています。特に女性のアルコール依存症患者には、うつ病などをアルコールで紛らわせようとする人も多いです。

耐性によるアルコール摂取の増加

最初は、ビール1本で酔っぱらっていたのに、飲んでいるうちにビール1本で酔っぱらう事ができなくなって、次第にお酒の量が増えていくというのを『耐性』と言います。次第にアルコールをコントロールする事が不可能になって、少し飲もうと思ったけど、ガンガン飲んでしまって、既に眠るまで飲み続けるという行動を繰り返すようになります。また、アルコールを断ち切る事で耐性が元通りになりますが、しばらく飲んでいると、また元のように耐性が戻ってしまいます。

アルコールをコントロールできずに、ホームなどに寝たりしている人の多くは、既にアルコール依存症に近いか、アルコール依存症であると考えられます。妻に『離婚する』、医者に『命の危険が危ない』と言われても、アルコールを断つことができないのがアルコール依存症の特徴です。麻薬と同じ状況であり、自分の意志でコントロールできることではないのです。

アルコールによる癌の発生

アルコール依存症の人は、癌になる可能性がアルコールをほとんど摂取しない人よりも高くなります。アルコールの摂取量が増えると、全ての病気にかかりやすくなる可能性が高くなります。特に怖いのが『食道がん』であり、発見が遅くなった場合には、死亡リスクが高い癌であるとされています。

アルコール依存症になって病気になるのを防ぐ唯一の方法は、完全にアルコールを断ち切る事です。アルコールを断ち切る事によってのみアルコール依存症を治癒させる事ができて、病気になるリスクを大幅に低下させる事ができるようになります。病気にならないようにするためには、一切のアルコールを断ち切って飲まない事が大切になります。

アルコール依存症による脳の萎縮

アルコール依存症患者の経験がある男性は、認知症のリスクが4.6倍高まるという研究結果もあり、大量に飲酒する行為を行っている人は、物忘れが激しくなりがちになってしまいます。このような状況が発生するのは、脳が委縮する上に生活が乱れて、どんどんぼけた状態になります。

アルコール依存症の発症過程

アルコール依存症が発症する背景には、ほとんどの場合に『友達に飲み友達が居て、一緒に飲んでいるうちにやめられなくなった』というものがあります。特に多いのは、職場の付き合いなどでお酒の席が増えて、そのまま『ストレスがあったらお酒を飲めば良い』と考えてしまう事です。

アルコール依存症で深刻であるのは、本人にアルコール依存症の自覚症状がないという事です。本人は、アルコールについて『自分でコントロールできている』と思い込んでいますが、実際には飲酒を全くコントロールできず、毎日のように飲酒を繰り返している人が多いです。

アルコール依存症で社会の信頼が低下

アルコール依存症になった患者は、周囲とうまくいかなくなる事が多くなってきます。アルコールを摂取しないとイライラするようになって、昼間からアルコールを摂取したくてイライラしている状況になります。そして、夜になると必ずコンビニなどでアルコールを『調達』して、1人でもアルコールを摂取します。アルコールを摂取している時には、気分が良くなって会話も弾みますが、アルコールを摂取していない時にイライラして、家族に当たり散らすようになったりします。職場などにお酒を持ち込んで飲み始めたりしている人がいたら、相当にヤバい状況になっていると思った方が良いでしょう。

友達ともアルコールなしで付き合う事ができなくなり、常に飲み会に出席して飲むようになります。アルコール依存症の人は、深酒になりがちになってしまうので、飲み会などで自分のコントロールを失って周囲に迷惑をかけてしまうような状況が発生する事も良くあります。例えば、1人で自宅に帰れなくなったり、寝てしまったり、大声で騒ぎ立てたりなどの行動がみられるようになります。そんな人を見て、周囲は付き合いを避けるようになっていきます。

周囲から避けられるようになってくると、ますますお酒の量が増えて、アルコール依存症が深刻になっていきます。

アルコール依存症の最終段階

アルコール依存症の最終段階においては、アルコールを連続して飲むこと、断酒する事を繰り返すという行動をとる事になります。起きているとアルコールの摂取の事ばかりを考えて、ずっとアルコールを飲み続けて、アルコールが無くなったら買いに行くという事を繰り返す事になります。

多くのアルコール依存症患者に見られる最終段階の症状は、自分の健康を損なって、家庭の調和を破壊して、アルコールが原因で仕事をなくし、それに伴って財産を失い、アルコールに溺れて死んでいいくという感じです。

アルコールを完全に断ち切る事が大事

アルコール依存症をなくすには、アルコールを全て断ち切る事が大切になります。飲み会、付き合いなども含めて、アルコールを全く飲まないという事が大事になります。日本人の約半数(44%)は、アルコールを飲むと顔が赤くなるタイプの遺伝子を持っています。アルコールの代謝過程でできるアセトアルデヒドという物質の酸化能力が弱いので、アルコールが得意ではないという事で、アルコール依存症になりづらいです。逆にアルコールに強い人ほど、アルコール依存症になる可能性が高くなります。

アルコール依存症になった方は、もう二度とアルコールを普通に飲む生活に戻る事はできません。アルコールを断ち切るだけが唯一の方法になります。

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